定跡とは、過去の膨大な対局から導き出された「この場面ではこの指し手が有力」というお手本のような序盤の手順です。プロの対局の解説や、分厚い定跡本を見て、これくらい覚えないと勝てないんだと絶望する方もいるかもしれませんね。
でも安心してください。アマチュアレベル(つまり、人類のほとんど)、それも初段を目指すレベルなら、定跡の勉強はほぼする必要がありません!
理由は簡単で、アマチュアの将棋で勝敗を決めるのは、序盤の細かい知識よりも圧倒的に、読みの精度と終盤力の比重が大きいからです。
いくら序盤で有利になっても、終盤で寄せ切れなかったり、逆転されてしまえば意味がありません。逆に終盤力が相手より高ければ、多少不利な状態からでもほぼ確実に逆転できます。
また、序盤の知識があまりなくとも、序盤から正確に丁寧に手を読むことができる実力があれば、完璧とは言えなくとも、ある程度無難に序盤をこなすことができるはずです。
序盤については、いきなり、と金を作られるとか、銀をタダ取りされてしまう、みたいな大きなミスをやらかさなければOKだと思ってください。もちろん、そういったミスをすることもあるでしょうが、経験を積んでいけば、特に集中して勉強をしなくともミスは減ります。
また、せっかく序盤の手順を覚えても、相手がその通りに進めてこなかったり、奇襲戦法(王道ではない珍しい戦法)を使ってきて、定跡の知識が使えなくなることも多いのです。
覚えるのは「大まかな形をちょっと」だけでOK
とはいえ、全く何も知らないと不安になりますので、「自分が安心して戦える形や囲い」を1〜2種類だけ覚えて持っておけば、序盤の迷いが減ります。
私の場合も、基本的に居飛車の相手なら雁木囲いやカニ囲い、振り飛車の相手なら舟囲いという囲いに組むだけで、その後は経験とその場での読みだけで指しています。体系的な勉強・研究はほぼしていません。
それでも、アドリブの対応だけで三段まで到達できています。
私自身、現在でも負けてしまう将棋は、序盤での知識不足よりも、中盤でのミスや、終盤の読みの精度や詰将棋力の不足が原因であることが多いです。
定跡書を読み込むよりもオススメなのは、実戦の序盤で失敗した局面を反省することです。
実は、定跡を勉強することの本当の効果は、級位者の場合、序盤のエッセンスや感覚を身につける部分が大きいです。
- 早く攻めすぎて失敗した
- 駒組みがバラバラで、速攻されてしまった
- 序盤から角を成られてしまった
など、こうした失敗を一つずつ直していけば、定跡の勉強をしなくても、ある程度序盤のコツが身についていくはずです!
【お知らせ】
本記事は、拙著『脱初心者!将棋の考え方』から内容を抜粋・再編集したものです。
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